ラーマの日記

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2018年 02月 12日

シンプルと普遍


ビートルズの音は初代ファミコンである。

初代ファミコンは、音の横の流れで勝負するしかなく、それが独特のゲームミュージック文化を生むことになったが、ビートルズはファミコンに先駆けてそれを実現していた。ギターで縦にかき鳴らす奏法もできるのに、敢えて横の流れで勝負した。これはデュラン・デュランなどの後輩たちにも受け継がれたと思う。

ビートルズはレコーディング時のトラック数も最初はたったの2チャンネル。後半も4チャン、その後は8チャン。

これはYMOもそうで、卓(ミキサー)のチャンネル数が増えるほど、使う音数は逆に減って行った。

新機材が次々出て来て、それに惑わされ、移り変わるのは人の意識であって、音楽性ではない。音楽の良さは、機材の新しさじゃないのだ。

現在のシンセサイザー、例えばJUPITER-80よりも、昔のJUPITER-8後期型の方が私には魅力的。当時のハードウェア・デザイナーによる奇跡的なデザイン・センスが生きている。

4ピースのバンド形態はミニ・オーケストラだ。これはカシオペアもそう。フルオーケストラ楽団の移動ともなると大所帯でお金が掛かるが、バンド4人なら楽ちん。BOOWYもそうだ。

イギリスやアメリカは、アイリッシュ系の血がそうさせるのか、シンセもコンピュータも、アングロサクソンが産み出している。ロックというジャンルも、かの地で生まれている。

その中で、日本からYMOが出たのは誇らしい。道に迷った時は古典を紐解き、原点に帰ろうとするけれど、これは人間の回帰本能がそうさせるのだろう。ある人は江戸期の詰将棋集に帰り、ある人はバッハに、ある人はYMOに、電子楽器の技術者はMINI・MOOGにと。


S3000XLは22Khzまでしか周波数が落とせないので、仕方なくYAMAHA・SU10を購入して11Khz録音するかと諦めていたが、「MooO オーディオ変換器 1.32」というフリーソフトを使えば、LinnDrumのようなロービット・サウンドが得られる。「テクノデリック」のドラムサウンドのようになってとても良い。


音楽の機材ほど、その価値が相対的な物はない。ストラディヴァリウスなんて、もう大分昔のバイオリンだが、一億円を超えると聞いたことがある。「アマーティ」というバイオリンも同様に高価らしい。大量生産される日本の電子楽器は、数量が多いから安くなり、MIMI・MOOGはハンドメイドで数量が少ないから高価になる。

将棋ソフト「BONANZA」だって、もしあれが保木邦仁さん1人の手元にあり、公開されていなかったら、1億円以上の価値を持つと思う。細野晴臣さんの作った曲だってそう。

保木さんの場合なら、「プログラムをこうしたい」という理想があって、それを実現したのだから、尊敬に値する。細野さんも「自分の曲をこのように作りたい」という理想を形にできているのだから、これ以上恵まれた人生はない。2人とも[HO]で始まるのも、偶然とは思えない。


新デザインの新製品を追い駆けさせる各楽器メーカーが立ち止って考え直すと良いと思う。「我が社はピアノやギターのような、普遍性を獲得した楽器を産み出せたか?」・・・と。

「当時の、あのデザインのまま何一つ変えないで作り続けてほしい」と思える機材が、1980年代の製品には沢山ある。つまり、バイオリンやピアノのように普遍性を得た楽器が、日本のメーカーには沢山あるのだ。アメリカの場合なら「Prophet-5」とか 。

OSも「XP部門」、「7部門」、「8部門」と各OS別のプロジェクトを設けて、それぞれ継続サービスし続ければいいのに、と思う。「Windows XP」なんて、普遍的デザインなのに、その後改悪して行ったいい例だ。


私はVS-880も普遍的デザインと機能性だと思ったので、今後変える気はない。

久石譲さんや植松伸夫さん、テイ・トウワさんがOpcode・Visionというシーケンサーを使い続けるのも理解できる。レコンポーザもエラーが皆無なVer2.5が最高だった。

坂本龍一さんの音も、「フェアライトCMIⅡ」を使ったアルバム「エスペラント」が最高にイイ。同時発音数は8音だ。後継機の「フェアライトCMIⅢ」は坂本さんと久石さんが用いていたが、発音数は16音でモノラルだった。それなのに「天空の城ラピュタ」のあの音を見よ!

細野晴臣さんは1996年頃の雑誌インタビューで、「YAMAHA・02R」というデジタル・ミキサーを若手ミュージシャン(おそらく砂原良徳さん)が使っていると知って悔しくなったようだった。

その当時細野さんは多チャンネルの豪華な卓を手に入れて、自宅スタジオを新調し、「サンレコ」などの雑誌インタビュアーを迎撃する体制が出来ていた?ようなのだが、同じく「サンレコ」に出てくる若手ミュージシャンのインタビュー記事に影響されて?、確かこんな弱音を吐いていた。


「別にこんな立派な卓じゃなくていいんだよね。もっとショボくてもいいんだよね。そうすると僕は悔しい思いをするんですよ。もっとボロくていいんだ、と思っちゃうのね」


ブリグリの奥田俊作さんと松井亮さんもビートルズに大分影響されているようだった。松井さんは当時VS-1680を使っていた。

「1680」も、当時のビートルズが泣いて欲しがるだろうな、と思えるほどの名機だ。

矢沢永吉さん、飯野賢治さんもビートルズ大好きだったそうだし、すぎやまこういちさんもビートルズは高く評価しているので、何かが、あのサウンドには潜んでいるのだと思う。


飯野さんは中学時代に吹奏楽部を選んでいるのも最善手だ。将来の自分の仕事に直結しているから。私は運動部を選んだことが個人的には悔やまれた。部活は確か1日2時間ほど行われたはずだが、これを3年間継続できるなんて、幸運以外の何物でもない。最大のチャンスだ。「漫画研究会」を選んだ人も賢いと思う。


砂原良徳さんが言うには、「どんなシンセも、いつか必要になる時が来るから捨てられない」ということだった。

私の場合は、「あの機材のあの音が欲しいなー」という時に手元に無いのだ。機材の維持費が無い人は、安い機材で我慢するのが賢い。まずはGM音源などで地力を養ってから、少しづつ機材のレベルも上げて行くべきだ。バッハの音楽なんて、同時発音数24音のSC-55で完璧に鳴る。すぎやまこういちさんの「ドラクエ」なんて、たった3音の中に、音楽のエッセンスが凝縮されている。最高の教科書だ。


大工さんはノコギリ、トンカチ、ノミ、カンナとか、先祖代々受け継がれた普遍的な道具で、家を作り上げてしまう。レコンポーザやVisionで作るプロのミュージシャンたちだってそうだ。「人間国宝」に指定される方たちの道具もやはり「古い」物が多い。ドイツで言う「マイスター級」、日本で言えば「宮大工級」の棟梁なら、立派な音楽を作り上げることができる。

ビートルズの「2~4チャンネルの卓」とか、YMOの「発音数1音のサンプラー」と聞いて、物事の本質を悟るくらいでないとダメなのだと思う。新機材を次々追い駆ける自分にツッコミを入れられるのは自分だけ。「そこじゃないでしょ」と・・・。

そして、「旧機材」を易々と売り払う無知な自分に、ドンファンよろしくもう一言ツッコむ。

「そんな滅多に無い物を捨てちまうなんざ恥だ」と。


私も現代の古典を紐解こうかな。その名はビートルズとYMOだ。





参考資料

YMO アルバム「BGM Limited Edition」復刻盤
坂本龍一、高橋幸宏の最新「YMO振り返りインタビュー」、細野晴臣 東芝盤(1999年)インタビュー復刻の記事

ビートルズ・レコーディング機材

「Sound & Recording Magazine」 リットーミュージック

「Across The View」 J-WAVE
木曜日 放送担当 川瀬智子

「どれみふぁワンダーランド」
NHK BS2 ゲスト すぎやまこういち

DTM雑誌「PCmusic」 ソフトバンク株式会社出版部

インタビュアー:戸田誠司 ゲスト:細野晴臣


「感動をつくれますか?」 角川 one テーマ21
久石 譲 著

「ドンファン・シリーズ」 二見書房
カルロス・カスタネダ 著 真崎 義博 翻訳

「成りあがり」 角川文庫
矢沢 永吉 著 稲超 功一 写真

飯野賢治 深夜ラジオ番組「ナイトワープ」TOKYO FM

宮大工 ウィキペディア

飯野賢治 ウィキペディア


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by saiyans | 2018-02-12 01:00 | 音楽


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